ダウン症 - 産まれる前の初めての健康診断

遺伝子疾患に関する記事

ダウン症

ダウン症(21トリソミー)とは

妊娠を考える女性や、すでに妊娠中のプレママにとって「ダウン症」という言葉は、一度は耳にしたことがあるかもしれません。ダウン症は、正式には「21トリソミー」と呼ばれ、21番目の染色体が1本多く、合計で3本あることによって起こる遺伝子疾患です。

一般的には、新生児約700800人に1人の割合で生まれるとされています。

この数値からも分かるように、決して「珍しい」状態ではなく、多くの家族が抱える可能性がある現実の一つと言えます。

なぜ21トリソミーが起こるのか

私たちの体は46本の染色体を基本としており、父親由来の23本、母親由来の23本、合計46本がペアをなして身体を構成するための設計図となります。

しかし、受精卵が形成される際、何らかの理由で染色体がうまく分配されず、21番目の染色体が余分にコピーされてしまうことで生じるのが21トリソミーです。

これは偶発的な染色体分配ミスとして起こることが大半で、特定の生活習慣や行動で回避できるものではありません。

ダウン症の特徴について

ダウン症のお子さんは、知的発達に遅れを示したり、特有の顔立ちや体格的特徴を持つことが多いと言われています。

また、心臓疾患や甲状腺機能低下症など、合併症を伴う可能性があることも知られています。ただし、合併症や発達の度合いはあくまで個人差が大きく、一括りにはできません。

お子さん一人ひとりが異なる成長曲線を持ち、適切な医療的サポートや教育的支援を受けることで、豊かな生活を送ることが可能です。

ダウン症・21トリソミーのタイプ分類

ダウン症には、大きく3つのタイプが存在します。その中で最も多く見られるのが「トリソミー型(標準型)」で約94%を占めています。これは先に述べた通り21番染色体が余分に1本存在するものです。

  • トリソミー型(標準型):約94
    このタイプは21番目の染色体が全ての細胞で3本ある状態です。
  • 転座型:約5
    転座型の場合、21番染色体が別の染色体に付着(転座)してしまいます。結果的には21番染色体の遺伝子情報が3セット存在するため、21トリソミーと同様の特性がみられます。ただし、家族性で起こることもあり、遺伝的な要因が関与することがあります。
  • モザイク型:約1
    モザイク型は、同じ体内で一部の細胞が21トリソミー、他の細胞は正常染色体数というように、異なる細胞集団が混在している状態です。
  • モザイク型では、症状の程度がトリソミー型より軽くなる傾向がみられることもあります。

NIPT(新型出生前診断)で分かること

近年、妊娠中に受けられる出生前検査として「NIPT(新型出生前診断)」が注目を集めています。NIPTは妊婦さんの血液中に微量に存在する胎児由来DNAを解析することで、ダウン症(21トリソミー)をはじめとする染色体異常のリスクを調べる検査です。

非侵襲的検査と呼ばれ、妊婦さんやお腹の赤ちゃんにリスクがほぼないこと、そして高い精度でダウン症の可能性を判断できる点が特長です。

従来の出生前診断で用いられた絨毛検査や羊水検査は、精度は高いものの、わずかながら流産のリスクが伴っていました。

一方NIPTは母体血の採血のみで行われ、リスクをほとんど増やさずに精度の高いスクリーニングが可能です。